「SECOND CHANCE」 2007 9 30
書名 ブッシュが壊したアメリカ
著者 ズビグニュー・ブレジンスキー 徳間書店
この本の書名は、誤解を招くと思います。
英語の書名は、以下のようになっています。
Second Chance:
Three Presidents and the Crisis of
American Superpower
by Zbigniew Brzezinski
そういうわけで、日本語の書名も、
「セカンドチャンス アメリカは巻き返せるのか」とすべきだったと思います。
この本は、政治評論というより、
現代史の歴史書と言えるかもしれません。
激動の1990年から2006年までの歴史書という印象があります。
現代史というものは、あまり学校では教えないでしょう。
それは、歴史的な評価が定まっていないからかもしれません。
また、有権者も、今から直近10年ぐらいの歴史を知る人も少ないかもしれません。
たいていの人は、忙しいし、忘れやすいでしょう。
重要と思われる新聞記事を10年間保存しておけば、現代史となるでしょうが、
それは、現実的には不可能でしょう。
そういうわけで、現代史は、現代人にとって、暗黒時代のようなものでしょう。
その暗黒時代を解明する手段となるのが、本書と言えるかもしれません。
さて、この本の目次を見ると、おもしろいことに気づきます。
第三章 先代ブッシュの負の遺産
第一節 先見の明がないリーダー
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第四章 グローバリゼーションを妄信したクリントン
第一節 はっきり意思表示しないリーダー
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第五章 現ブッシュの破滅的なリーダーシップ
第一節 テロの恐怖をあおりたて、内政に利用
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要するに、各章の結論は、第一節に書いてあるような感じがします。
同時に、この本は、歴史書であると同時に、リーダー論でもあると思います。
さて、この本のもうひとつの目的。
「アメリカは、巻き返すことができるか」
私は、そのチャンスは、十分あると思います。
しかし、同時に、ラストチャンス(last chance)になると思います。
もうひとつ書いておきます。
それは、外交と国民の関係です。
これは、架空のモデルで、思考実験です。
ある国は、海に囲まれていて、外敵が侵入する可能性は低いとします。
その国の国民が、一生懸命努力した結果、
いつの間にか、経済力は世界最大となり、軍事力も世界最強となってしまった。
こうした国の国民が、外交に興味を持つでしょうか?
おそらく外交には、関心が低いと思います。
もしかすると、政治家も、外交に興味を持たないかもしれません。
もちろん、内政がうまく行かないので、外交で得点稼ぎをする場合はあるでしょう。
はたして、グローバル・リーダーは出現するか?
もしかすると、その可能性は低いかもしれません。
人ではなく、世界共通の価値観は出現する可能性があるでしょう。